【死後の事務】

2014年08月11日

自分の死後、葬儀や預金の引き出し、残置物の処理などをどのようにすればよいのでしょうか。

民法では、誰かに法律事務を委任することができる旨の定めがあります(委任契約)が、委任者の死亡により、このような契約は終了するのが原則です。

もっとも、委任者の死亡によって契約が終了しないとの合意がある場合には、このような合意も有効とされています。

例えば、委任者が、入院中の病院への支払、死後の葬式を含む法要等の費用、お世話になった家政婦や友人への応分の謝礼金を依頼したケースで、自分の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約には、死後、当然には契約を終了させない旨の合意が含まれているとしたものがあります(最高裁判例平成4年9月22日)

また、委任者が僧侶に対し、自分の写真をお墓に納めて永代供養してほしいと依頼したケースについても、委任者の死亡後も、この契約が継続すると判断したものがあります(東京高等裁判所平成21年12月21日)

このように死後の事務に関しては、「死」という予期しがたい出来事のもとで、関係者が相続法理と抵触しないよう手探りで行っているというのが実情のようで、ケースに応じた柔軟な対応が求められます。

このような事態が生じぬよう、生前に遺言等により、死後の財産処理方法をあらかじめ明示しておくことも重要でしょう。