【物損訴訟について】

2014年10月22日

当事務所では、交通事故の訴訟案件が比較的多いと思われますが、その中で、物損につき、どのような場合に訴訟になりやすいのか、分類してみました。

1 積載物損害パターン
事故により、車内にあった物品等が損壊されたというパターンです。事故後、すぐに現場確認が行われればよいのですが、実況見分の際には、道路状況や自動車の破損状況等のみに注意が払われ、車内にある積載物にまで目が届きません。これにより、事故当時に、「物品が載っていたか」どうかをめぐる訴訟が行われるケースがあります。

2 過失割合パターン
交通事故訴訟の争点の中で最も多いかもしれないのがこのパターンです。自動車事故においては、運転者は、多かれ少なかれ「いつも通り運転していたのだから自分は悪くない」との認識をもつケースが多いです。他方、交通事故の過失割合については、裁判例上、多くの場合、事故パターンごとに基本となる過失割合をどのようにすべきか類型化されています。
こうした基本となる過失割合と運転者の認識が食い違う場合、双方納得のもとに示談に至ることができず、訴訟となるケースが多いです。

3 評価損パターン
初めて交通事故を起こした自動車は、事故歴のある車となり、売却時点において価格の下落が生じえます。これを評価損と言います。裁判例上は、購入時期、走行距離、損壊の程度、車種などにより、一定のケースにおいて、この評価損を認めています。もっとも、運転者としては、愛車を傷つけられた以上、新しかろうが古かろうが、元に戻るだけの賠償をしてほしいと考えることでしょう。
このような認識の下、事故歴のある自動車になったことの賠償をめぐって訴訟が起こされるケースがあります。

4 小括
かつては、以上のような物損事故については、修理費よりも弁護士費用の方が高くつき、弁護士に依頼して訴訟に至るケースは多くなかったと思われます。もっとも、現在は、任意保険に付帯する弁護士特約に基づき、自己負担なく、訴訟・交渉を行えるケースが多くあります。なお、お怪我が生じた時には、弁護士を頼むか否かで、さらに獲得金額が大きく異なるケースがあります。示談前に、一度、自分の事故について、妥当な賠償額なのか否か、相談してみることもよいでしょう。