リーガルニュース Vol.28  2019年06月29日

■ ニュース紹介とコメント

 
オリンピックチケットの当選が発表されました,いかがでしたでしょうか。
65万円分を買った私は,チケットビンボーになるのではないかと危惧しましたが,無事,すべて外れましたため難を逃れました。

 
1 未払い賃金請求期限延長へ 労働者の権利拡大
残業代などの未払い賃金を請求できる期限について、労働基準法で定められた「2年」を見直し、期限を延長する方向で議論がまとめられています。
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/190613/ecc1906131413001-n1.htm 

2 ベルコの不当労働行為認定 元従業員2人の復職命令
冠婚葬祭業大手ベルコに対して不当解雇を訴えていた問題。
業務委託契約の形式はとっていても,労使関係を認めた
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/315018

3 ピエール瀧被告人に執行猶予付き有罪判決
求刑通り1年6ヶ月,裁判官の説諭が長い
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190618/0031395.html

4 HIV陽性者が病院から内定を取り消され提訴。病院側弁護士の尋問が差別的との指摘
HIV感染を理由とする解雇は違法の可能性が高く,むしろ「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」に従い、感染の危険がないことなどの社内教育をする必要があるとされています。
https://www.outjapan.co.jp/lgbtcolumn_news/news/2019/6/8.html

5 自動車取得税の廃止
2019年10月に消費税が10%となることに伴い,自動車取得税が廃止され,環境性能割(燃費性能に応じて0~3%,軽自動車は0~2%)が導入されます。なので,その後は,事故の全損時諸費用の中でも,自動車取得税分の損害は,賠償の対象から除外されそう。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/131410.html

6 牛久市指名入札外し訴訟 市に1000万円賠償命令
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15609421470643

7 173万円窃盗の男性無罪 「DNAの同一性不十分」
保管状況など,DNA型鑑定の手続き面で信用性が否定されることはあっても,合致部位が少ないとのことで否定する例は珍しい。
https://www.topics.or.jp/articles/gallery/218655?ph=1

徳島県阿南市で2018年3月、店舗兼住宅に侵入し現金約173万円を盗んだとして住居侵入と窃盗の罪に問われた住所不定、無職の男性(64)の判決で、徳島地裁は19日、侵入経路に残されたDNA型の同一性が不十分だとして無罪を言い渡した。求刑は懲役3年6月だった。
公判で検察側は侵入経路とされる敷地のブロック塀上に男性と一致するDNA型が残っていたと主張。しかし坂本好司(さかもと・こうじ)裁判長は判決理由で、鑑定結果で一致したのは16部位のうち11部位のみで「男性のDNA型の可能性は高いものの、同一性について十分な証拠はない」と判断した。

8 「大動脈解離を片頭痛と誤診」遺族が国立病院機構提訴 名古屋地裁
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/317294
訴状によると、女性は2018年5月31日、勤務先で突然後頭部から胸にかけて痛みを覚えるなどした。救急搬送され、頭部CT検査や胸部エックス線検査などをセンターで受けたが、担当医は片頭痛と診断、薬を処方し帰宅させた。
6月9日朝、自宅で女性が亡くなっているのを夫が発見。検視の結果、死因は胸部大動脈解離に起因する心タンポナーデとされた。

9 ムシに学んだ高精細印刷 インキ不要、安価に発色 京大グループ開発
インク無し,歓迎
https://mainichi.jp/articles/20190619/k00/00m/040/343000c

10 年金繰り下げは年利7.26%の資産運用
長生きすることがリスクの時代。年金は繰り下げで70歳から受領するのがお勧め
https://news.yahoo.co.jp/byline/tachibanaakira/20190621-00131041/

11 物件「追い出し条項」は違法 マンション契約、大阪地裁
これは自力救済の禁止にあたりダメですよね。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019062101002257.html

マンションなどの賃貸で借り主の連帯保証を請け負う家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)の契約書に、借り主と連絡が取れない時に部屋を明け渡したとみなせる「追い出し条項」があるのは消費者契約法に反するとして、消費者団体が条項の使用差し止めを求めた訴訟で大阪地裁(西村欣也(にしむら・きんや)裁判長)は21日、条項は違法として差し止めを命じた。

12 両親らが埋葬された墓を「墓じまい」精神的苦痛で90歳女性が提訴
墓じまいをめぐる親族間トラブル,財産だけでなく墓のことも事前に取り決めておくべき
https://news.livedoor.com/article/detail/15508147/

13 茨城県がLGBTパートナー制度 都道府県で初、7月から
都道府県では初の試み
https://www.sankei.com/politics/news/190624/plt1906240016-n1.html

14 DV被害者の戸籍交付規制 福岡市導入、動きが拡大も
住民票だけでなく,戸籍から住所が特定されることもあるとのことで 

■ 今週の書籍の紹介

雨宿りはパレード~ウガンダ共和国は幸せの見つけ方を教えてくれた~
(小川光一,スターティアララボ株式会社)

 
ウガンダのサマニャの子供たちにとって重要な飲料水となるのは,基本的に雨水です。ウガンダには雨季と乾季があり,雨季でも十分に水が溜まらないというのに,乾季はとんでもなく水不足になります。サマニャで雨が降ると,もはや「パレード」です。
私は,雨水を飲む彼らを微笑みながら見ていたわけですが,肝心な雨水のことは,心の中では汚いものと思っていたことに気付かされました。
私は,ミネラルウォーターのペットボトルを箱買いして,自分の部屋まで運び入れており,そうしないと,生きていくことができないことを実感していたからです。私には,「パレード」に参加する資格はありませんでした。

サマニャのあるラカイ県では,HIVの感染率が非常に高いと聞きます。HIVは非常に感染力が弱いウィルスで,空気や水に触れると感染力を失います。なので,日常生活で感染することはありません。
途上国の中には,HIVの薬を飲むことができず,命を落とすケースもまだまだ見られます。